会社勤めも長くなったし、そろそろいい年だし、会社からはあまり希望の案件もふられなくなったし…、フリーにでもなろうかな?なんて考えている方。たくさんいるでしょうね。確かに、誰でもフリーエンジニアになれます。
気をつけなければならないのは、“自称”か“他称”かというところ。つまりフリーエンジニアとして社会が認めてくれるかということです。
希望の案件に従事できて、ある程度納得できる収入を得るには“他称フリーエンジニア”にならなければなりません。
そしてフリーエンジニアとして、この先働いていくためには、さまざまなルールや義務を果たさなければなりません。その覚悟をお持ちのエンジニアに最低限の「イ・ロ・ハ」をお知らせします。
もう一度考えてください。本当にフリーエンジニアになりますか?
最初にぶつかる問題です。どんな案件にいくにせよ、まずスキルシートで判断されます。できることとできないことを明確に記述することです。ここであまり風呂敷を広げると手痛い目に会います。
逆に遠慮がち、控えめにすると、相手は割り引いて見ることが多いですから、スキル不足!なんてハンコを押されることにもなります。
どんな案件の何を行ったのか、役割やフェーズなど分かりやすく記述します。何をやったか、何ができるか、何が得意か、をハッキリと相手に伝えることが大切です。
スキルシートは、実際にフリーエンジニアとして登録する会社の雛形を使うのがいいでしょう。前職の会社のものなどはもってのほか。どこで、誰に見られるか分からないのがスキルシートです。注意
しましょう。
まず案件を探さないことには始まりません。仲間や先輩の紹介で、という人はホンの少数でしょうから、どこかで紹介してもらうほかありません。ここですかさず「弊社にお任せください」というのが
当たり前ですが、それではミエミエ。弊社もご紹介しますが、他でもいろんな会社が紹介しています。
ですからいろんな会社を見て、それぞれに特徴がありますから、自分にあったところと契約されるのが一番でしょう。「案件情報」「フリーエンジニア」などで検索するとたくさん見つかりますよ。
紹介された案件情報だけでは、分からないこともあります。最近は情報管理の問題から、詳細は明かさないのが殆どでしょう。概略がつかめればいいほうです。案件の何かに興味があったら面接で詳細を聞くことをお勧めします。納得しないで就業したりすると、自分が後悔するだけでなく、周りにも迷惑をかけることになります。
面接にも2通りありますね。
まず案件を紹介してくれる(所属となる)会社との面接。第一関門ですね。次に案件の責任者であるPM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)との面接。
違いは、前者は自分は何ができるか、何をしたいか、いくら欲しいか、通勤は、などを全体的に話すこと。後者は、その案件のどんなところにどんな役割を果たせるか、という具体的面接。どちらもハッキリとした対応が好感をもたれます。
案件での面接は、技術者のスキルを図ることが目的です。営業マンやアナウンサーの面接ではありませんから、うまくしゃべろうとする必要はまったくありません。下手でも、正確に丁寧にゆっくり、話せばよいのです。経験のないことであっても、積極的な姿勢を示すことが大切です。「勉強する」「周囲の方に教えを請う」「習得するようチャレンジする」など。向上心がなくなったら技術者としてはおしまいです。
面接は相手からされるだけではありません。あなたも相手を面接するつもりで話してください。こちらの知りたいことはどんどん質問して、ちゃんと納得してください。面接で妥協すると取り返しのつかないことになります。
面接には(弊社の場合)必ず営業が同行します。客先にどんな風に接したら良いか、どんな態度で接するかなど、分からないところは事前に営業マンに相談してください。
面接だけでなく、営業はフリーエンジニアのために働いています。自分を有利にするためにも、どんどん活用してください。
仕事が決まると基本契約書を交わします。この契約は1回行えばその会社に属している間有効です。
いろんなことが書いてありますが、面倒がらずに、まず一通り読みましょう。特に注意すべき点はしっかりと読んでください。
個々については、契約書により若干の違いはありますが、要は当たり前にやっていれば問題のない事項です。
発注書(注文書)がそれにあたります。案件名、期間、作業場所、金額、支払条件など個別の条件が記されています。
すべてをチェックし、条件が違う場合など、遅くとも1週間以内に申し出をしましょう。
フリーになったら自分で請求書を起こし、請求しないとお金は入ってきません。仕事さえしていれば、決まった日に自動的に振り込まれる会社員とは全然違います。
そこで締め日。毎月末が多いですが15日、20日などその会社や案件によって違ってくる場合もあります。発注書(個別契約書)に書いてあるはずですから、決められた日までに、稼働日数・稼働時間、残業や出張費などの精算を含めて提出してください。書式等はそれぞれ違いますので確認を。
大切なことがもうひとつ。振込先金融機関、口座番号を忘れずに。
フリーエンジニアといえど「個人事業主」です。法人と同じように請求の際は、消費税を付加して請求します。
*2年前の年間収入(売上/消費税含まず)が1,000万円超の場合は、消費税として税務署に申告・支払義務が生じますが、1,000万円以下の場合は申告も支払い義務も生じません。たとえば、2年前の月額単金80万円だったフリーエンジニアの場合、年収(売上)は960万円ですから、消費税の申告・支払義務は生じません。消費税として入金した48万円は、そのまま自分のものとなります。つまり合算で1,008万円となります。
一方、2年前の年収(売上)が1,000万円超だった方は、消費税の申告・納税対象となります。消費税として、その年の収入がいくらであれ、5%の消費税を納入しなければなりません。消費税の申告は所得税とは別途になっていますのでお気をつけください。
*2年前の年間収入(売上)ですから、新規にフリーエンジニアとなられた場合は、その年1,000万円を超えた場合でも課税対象外です。
フリーエンジニア(個人事業主)としてスタートするに当たり、税務署に開業届けと税務申告届けを行います。
税務申告には、青色と白色申告があります。申告する用紙の色からこの呼び名がつきました。大きな違いは帳簿の記帳義務と10万円の青色申告控除がつくことです。
白色申告では経費などの領収書を取っておけば良いことになっていますが、青色申告では、それにプラス(簡単な)帳簿が必要になります。といっても法人のような経理帳簿類は必要なく、エクセル等で作成した入出金帳=小遣い帳レベルのもので充分です。それで10万円控除してもらえるのですから、青色申告をお勧めします。
フリーというのは自由ではありません。いえ、自由などないと思ってください。
解釈するなら“フリー”=“ひとり”と思ってください。あなたを助ける人はいません。すべて自分の責任において行ってもらわなければなりません。
案件を紹介してくれた会社があるじゃないか。といわれるでしょう。確かに会社によって違いはあるものの、フォローはしてくれると思います。でも最後の責任はあなたがとらなければなりません。それがフリーエンジニアの宿命です。
フリーランサーとフリーターでは、文字は似てますが、内容は月とスッポン。当たり前のことですが、社会常識、ルールを守ること。体調管理もキチンと行えないようではフリーエンジニアの資格はありません。
厳しい反面、案件が選べる、スキルアップ、キャリアアップの道を自分で切り開けるなど、やりがいのあることもたくさんあります。
納得のいく、素晴らしいフリーエンジニア人生を祈念します。